特徴とこだわり
築地魚河岸で「北田水産」の名を聞けば、まずその確かな目利きと誠実な姿勢が思い浮かびます。プロの料理人から家庭の食卓を支える一般の方まで、多様なお客さまの期待に応え続けてきた仲卸です。扱う魚は「プロに提供しても恥ずかしくないもの」だけ。見た目や身質に妥協せず、築地ならではの商品を厳選して扱っています。
豊富な品揃えは北田水産を信頼するお客さまからの声を取り入れて進化を続けた結果。銀座に近い立地もあり、単価一万円を超える高級料理を提供する飲食店から厚い支持を得ています。要求値が高いお客様からのご要望で進化してきた品揃えは自然とハイグレードなものだけに絞られ、品質にこだわる方々にとって信頼できる仕入れ先となっています。
品質を見極める基準
北田水産の基準は明確です。魚は「漁期」「産地」「加工や保管の信用度」、そして「一見してわかる身質」で選び抜かれます。漁期や産地のような知識に加え、加工や保管のような業界に長く携わるからこそわかる経験、そして最後は店主自ら確認する現物の確認と、多面的な基準をクリアした商品を扱っています。
例えばホッケ。春に獲れる「春ホッケ」は脂が抜けて味わいが薄いのに対し、秋の「秋ホッケ」は産卵前で脂がしっかり乗り、格別の美味しさを誇ります。良産地として名高い礼文島のホッケは今や不漁が続いているため、羅臼産に切り替えるなど柔軟な対応をしています。このように、知識に加えて現物の確認、柔軟な対応をとれるような見極める力を持っています。
身質の見極めにも徹底しています。魚を持ったときに柔らかいものはすぐに弾かれ、逆にふっくら太り脂が乗っているかどうかを見た目から判断。お客さまが料理に使って「恥ずかしくない魚」だけを店頭に並べる姿勢が徹底されています。
初めてのお客さまへの提案
築地の仲卸というと業務店向けのイメージが強いかもしれません。その中でもかなり業務店向けなのが北田水産。北田水産のロットはスーパー基準よりも大きく品揃えもプロ向けの品揃え。そのため、大きめの冷凍庫を持つご家庭や「魚をしっかり食べたい」というご家庭には高級料理店などのプロ向けの食材が一般家庭でも手に入る貴重な機会です。
プロ向けだから一般の人では使いにくいかと思われますが、北田水産の店主は親身に相談にのってくれます。家庭で楽しむためのアドバイスの一つは「まずは食材の知識を少しだけつけてみる」こと。そうすることで希望の商品が見つけやすくなります。「知識をつける」というのは難しいお勉強ではなく、飲食店や家庭でいろんなものを食べてみて、美味しいと感じるものを探してみる、ということから。美味しいものを見つけたら、その食材のことを少し知ってみる。その情報を共有してもらえると近い商品を提案しやすくなる。
また、干物や塩辛、いくらといった加工品は「どのメーカーのものか」を覚えるのがおすすめ。美味しかった商品はメーカーを手がかりに探すことで、次回以降の買い物が格段にスムーズになります。
まずは試してみてほしい ― 天然紅鮭
北田水産が初めてのお客さまにすすめたい魚は、やはり「天然の鮭」です。国産の天然鮭は入荷が不安定で希少ですが、入ったときこそ試す価値あり。まさに築地ならではの味覚体験です。
塩鮭なので、シンプルに焼くのが美味しいです。冷蔵庫に入れてゆっくり解答してください。
鮭には天然と養殖があり、さらに紅鮭(特にカナダ産)など種類によっても特徴が異なります。脂がしっかり乗った養殖を好む方もいれば、天然ならではの上品な味わいを好む方もいます。好みを伝えてもらえれば、北田水産が最適な一尾を提案してくれます。
豊洲と全国をつなぐ仕入れ網
北田水産の仕入れは豊洲市場が中心ですが、それだけにとどまりません。商社の在庫を活用したり、産地から直接取り寄せたりと、多彩なルートを組み合わせています。
豊洲の強みは「量」「種類」「完売力」。全国から魚が集まり、安定して流通させることができます。一方、地方市場では地場のものが中心で、季節が終われば品がなくなってしまうこともあります。その違いを理解した上で、北田水産は最適な仕入れを行い、お客さまに幅広い選択肢を提供しています。
こうして築地の店頭には、全国から選りすぐりの新鮮な魚介が集まり、一般のお客さまにとっても「豊洲以上の体験」が得られるのです。
さらに心強いのが、相談すれば一般の方向けにも商品を探していただけます。探しているものがある場合はまず相談してみるとこの仕入れ力から新しい答えが見つかる可能性があります。
柔軟な加工と対応力
北田水産の魅力は、単に仕入れだけではありません。お客さまの要望に応じた柔軟な対応力も大きな特長です。
基本は冷凍を中心に扱いますが、数量や条件によっては生魚の仕入れも可能。競りで直接買い付けたり、生魚専門の仕入れ先に依頼したりと、お客さまのニーズに寄り添い何でも対応できる体制を整えています。
また、店内で目の届く範囲での加工を重視しています。物自体がよかったとしても加工の過程で品質が落ちてしまうこともあるため、加工過程や場所についても常に気を配っています。
加工過程でも柔軟な対応が可能で、「半身で購入したい」という声には、事前相談のうえ切り身に加工して提供したこともあります。海外での加工に不安を抱く方にも安心できるよう、「責任を持てる範囲での加工」にこだわっているのです。
「まず断らない」という姿勢を大切にしつつも、無責任な出荷はしない――その誠実な対応が、遠方のお客さまからの信頼にもつながっています。
まとめ
築地の北田水産は、プロの料理人から一般のご家庭まで幅広く支持される仲卸です。その理由は、確かな目利きで選び抜かれた新鮮な魚介と、柔軟かつ誠実な対応にあります。
「店頭に並べて恥ずかしくないもの」だけを並べるという強いこだわり。豊洲と全国を結ぶ仕入れ網。お客さまの声を受け止め、まずは断らずに応えようとする姿勢。そして、初心者には天然鮭から始めてみてほしいという温かな提案。
築地で魚を選ぶ楽しみを知りたい方にとって、北田水産は心強いパートナーとなるはずです。プロの目利きが選ぶ魚を、自宅の食卓でぜひ体験してみてください。