鳥上商店

築地魚河岸「鳥上商店」は、鶏肉と鴨肉の専門店。

国産鴨や鶏肉を中心に、胸肉・もも肉から丸ごと一羽まで幅広く取り揃えています。家庭でも扱いやすい加工品や冷凍品も充実し、普段の食卓から特別な日までお応えします。

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鳥上商店 ― 鴨肉を日常に広げる築地の老舗

築地魚河岸の中でも鴨肉と鶏肉が特徴の「鳥上商店」。その歴史は日本橋市場の時代にさかのぼります。祖父が千葉・市原から上京し、市場に「魚ばかりでなく肉も必要」と考えて鶏肉店を創業したのが始まりでした。日本橋から築地への市場移転時にも屋号「鳥上(とりじょう)」を掲げて移転し、現在に至ります。

同店の転機となったのは、父が出会った「鴨肉」でした。関西では古くから親しまれていた鴨ですが、当時の関東ではまだ珍しい存在。夜行列車で氷締めされた鴨が運ばれてきた時代に、その美味しさに惚れ込み、取り扱いを始めました。以来、鳥上商店は鴨を主力に据え、飲食店や一般家庭に広める役割を担ってきました。現在は宮城・埼玉・茨城の農場から安定的に仕入れ、築地から新鮮な鴨肉を届けています。

父の思いを引き継いだ兄は「鴨をもっと食べてもらいたい」と、鴨ラーメンを提供する店を開業するなど普及のために飲食の場からも発信を続けてきました。鴨肉を“高級食材”にとどめず、日常の食卓へと広げていきたい——その想いが鳥上商店の芯にあります。

国産と輸入、それぞれの個性

鳥上商店が扱う鴨肉は大きく「国産」と「輸入」に分かれます。

国産鴨は1羽3.5〜4kgほどの大きさがあり、脂も厚く、和食との相性が抜群。鍋や煮込みなどに使うと、旨味がしっかりと溶け出します。一方で輸入鴨は1kg前後と小ぶりで、脂が薄いためソースに馴染みやすく、フレンチや洋食で好まれます。

特にフォアグラ生産用に肥育された「マグレ・カナール」は、肉の力強い味わいと豊かな脂身が特徴。愛好家から人気を集めています。野生のマガモなど越冬鴨は11〜2月限定で出回りますが、個体数が少なく、臭みが出やすいため現在の主流は養殖です。

「どちらが良い悪いではなく、料理や用途に合わせて選んでほしい」と店は話します。和食には国産、洋食には輸入、それぞれにふさわしい持ち味があります。

商品ラインナップと特徴 ― 鴨と鶏

鳥上商店の品揃えは豊富です。鴨は胸肉、もも肉、ささみ、小肉、ひき肉、スライス、丸ごと一羽まで対応。冷凍品と生の両方が揃います。鶏も大山鶏やハーブ鶏、いわい鶏といった人気銘柄を取り扱い、唐揚げや鍋、焼き物など料理用途に合わせて提案しています。冷凍品は決して古いものではなく、鮮度のよいものをすぐに冷凍をしているためすぐにお召し上がりにならない場合は冷凍のものを購入されることをおすすめします。

購入は部位ごとが主流ですが、事前に相談すれば丸ごと一羽も可能。一羽購入いただく場合には半身に解体して希望に応じて内臓を外して別袋で渡すなど、衛生基準に沿った対応をしています。クリスマスに丸ごと欲しい、のようなご要望にもお応え可能です。

鴨肉の部位ごとの特徴についても丁寧に案内してくれます。胸肉は柔らかい反面、火を通しすぎると硬くなるため短時間調理がおすすめ。もも肉は歯ごたえがありますが、煮込むことで柔らかくなり、旨味は胸以上だといいます。鍋や煮込みには胸とももを合わせると、より深い出汁が楽しめます。

鴨胸肉
いわいどりもも生肉

加工品とオリジナル商品

鴨肉をもっと気軽に楽しんでほしいという思いから、鳥上商店は加工品にも力を入れています。代表的なのは鴨シュウマイや鴨ボール、燻製(塩・もろみ・柚子)。どれも家庭で手軽に一品加えられる工夫がされています。

燻製はパーティーのオードブルだけでなく、普段のお蕎麦にのせても美味しいと好評。鴨ひき肉を使ったそぼろやミートソースも、家庭料理にコクを加えるアイデアとして紹介されています。

「高級な食材という壁を壊し、普段の台所に鴨を届けたい」という姿勢が、こうしたオリジナル商品の開発につながっています。試行錯誤の過程で鴨たたきや佃煮風の瓶詰めにも挑戦しましたが、塩分調整が難しく失敗もあったそうです。成功も失敗も含めて、家庭の食卓へ寄り添う姿勢が伝わってきます。

ジャンボシュウマイ
鴨ボール

保存と調理のコツ ― 家庭に寄り添うアドバイス

築地で培ったプロの目利きは、家庭での使い方にまで及びます。美味しくお召し上がりいただくために以下のような扱いをおすすめしています。

  • 冷蔵・冷凍の基本

    食べきれない場合は「最初から冷凍品を選ぶ」方が品質を保ちやすいです。家庭用冷凍庫は温度変動が大きいため、保存期間は1〜2週間が目安です。再冷凍は品質が落ちますので避けてください。

  • 小分け冷凍のすすめ

    1枚ずつ平らにして冷凍すると、必要分だけ解凍できて便利です。薄切りにしたい場合は半解凍状態でスライスすると綺麗にカットしやすいです。

  • 解凍方法

    冷蔵庫でゆっくり戻すのが理想です。冬なら常温でも短時間なら問題なく回答できます。流水解凍は水っぽくなるため避けてください。

  • 調理前の下処理

    配送や保存中に肉に水滴がつくように「汗」をかくため、調理前にペーパーで軽く拭くと臭みを防げます。

  • 火入れの工夫

    胸肉は「さっと加熱」のように短時間の加熱、もも肉は「20〜30分の煮込み」で柔らかさや旨味を引き出せます。(生は厳禁)

また、生食は保健所の規定により禁止。かつては鶏刺しなども存在しましたが、現在は必ず加熱することが求められています。安全と美味しさを両立させるためのアドバイスが随所に盛り込まれており、安心して活用できます。

築地から、あなたの食卓へ

鳥上商店が目指すのは「鴨肉を特別から日常へ」。冬の鴨鍋や接待料理にとどまらず、鴨せいろや鴨そぼろ、家庭の炒め物にまで使える存在として提案を続けています。

「鴨の旨味はももにある。もっと普段から楽しんでほしい」 「長期的に冷凍保存せず、計画的に美味しいうちに食べてほしい」

そんな言葉からは、食材を無駄にせず美味しく届けたいという真摯な想いが伝わってきます。小さめの個体は加工品に回してロスを減らすなど、貴重な食材を余すことなく楽しむ姿勢も実直に実践。築地から全国へ、新鮮で安心な鴨肉を届け続けています。

プロの目利きが選び抜いた鴨や鶏を、あなたの台所でもっと身近に。築地の老舗・鳥上商店が提案する“鴨の日常化”を、ぜひ体験してみてください。

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